十和田湖リブパイオニア 38話 2021年が始まりましたッ 今年は豪雪からのスタートになった十和田湖、 私は初めてお正月の十和田湖へ行きました。 なぜ? 冬季は貨物船で洋上生活では? その通りです。 冬季は愛する十和田湖を離れ、これまで培ってきた船舶技術の継承と、更なる向上を目指し貨物船に乗務します。 今年も変わりなく洋上を航海し、2020年最後の積荷を釧路で下ろし、初荷式がある室蘭へと船先を向けたのは年の瀬も迫る28日でした。 正月を迎える予定だった室蘭港から、航海の途上で一本の船舶電話が入電、その内容は耳を疑うものだったのです。 本船が入港する岸壁が事務処理の手違いで無くなりました、年明けまで沖にて待機して下さいと。 つまり1月4日まで陸上には来られないよ、港の外でプカプカと浮いてなさいという非情な通達です。 もしこの内容を直接乗員に伝えると士気が下がります。 すぐさま代替の港を探し港湾当局へ電話を掛けまくり、まずは航路の途中にある苫小牧港に連絡を取ります。 結果は満船です、という切ない回答 続いて少し距離はありますが函館港に連絡、ここも満船ですという涙そうそうな回答でした。 万策尽きた感が漂う私に、故郷があるじゃないか!という天の声が聞こえてきたのです。 しかし故郷である青森港までは室蘭からかなり距離があり、そこまでの燃料代を会社が負担してくれるかという不安がよぎります。 まずは港! ダメ元で青森港湾事務所に電話を入れると、 一隻なら空いていますよという吉報がもたらされたのです。 会社の許可なく岸壁を予約した私は、仕事納め寸前の会社へ速電、電話口からはすでに仕事納めをしたらしく笑い声が聞こえます。 淡々と現状を伝えると、会社からは御年玉ですね青森港で正月を迎えて下さいと許可が出たのです。 胸躍るとはまさにこのこと、意気揚々と青森港へ船足を進めました。 一つ夜を越し、お昼頃には水平線へ懐かしい街並みが蜃気楼のごとく見え始めます。 車と違い船は、行く先がゆっくりと見えてくるのでワクワク感もそれはそれは長い間味わえます。 先程までゆらめく街の姿がしっかりとした形に変わり、師走の買い物に急ぐ車の往来までも見えるようになり、本船は青森港へ入港しました。 約20年の船乗人生の中で、故郷である青森で迎える正月はこれが初めてです。 奇しくも本船は2020年8月に就航したばかりの新造船、何か運命的なものを感じずにはいられませんでした。 本年もRIB Pioneerは自然ファーストの志を持ってガイド業務に努めてまいります。 皆様のご支援ご指導の程、宜しくお願いいたします。 ◆Photo:十和田湖 光の冬物語
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